膣内射精障害、3年半400件の相談でわかったこと|学会発表データをもとに解説

📝 この記事は、当サイト監修者(当サイト運営者の夫)が日本性科学会の学術集会で口頭発表した内容をもとに作成しています。3年半・約400件の相談対応データという、個人としては国内でも類を見ない規模の実績から得られた知見をお届けします。

「膣内射精障害に悩んでいるのは自分だけでは」「女性がパートナーに相談されたらどう向き合えばいい?」——そんな疑問を抱えている方は少なくありません。この記事では、3年半・約400件の膣内射精障害相談データをもとに、悩む方の年代・性別・改善率・改善までの期間など、他ではなかなか見られないリアルな実態をお伝えします。また、学会の専門医たちとの議論から得られた「改善への本質的な考え方」についても解説します。

1. 相談データの概要:3年半・約400件

2020年6月からSNSを通じた個別相談を開始し、2023年12月末までの約3年半で寄せられた相談は計394件。そのうち膣内射精障害に関する相談は325件でした。

394
相談総件数
(3年半・2023年末まで)
325
膣内射精障害に関する
相談件数
約2割
女性からの相談が
全体に占める割合

テキストメッセージのみというアクセスしやすい形式だったこともあり、普段であれば「誰にも言えない」と一人で抱え込みがちな悩みを打ち明けてくださった方が多くいました。

2. 相談者の内訳:年代・性別の実態
女性からの相談が約2割を占める

膣内射精障害というと「男性だけの悩み」と思われがちです。しかし実際には全体の約2割が女性からの相談でした。

女性からの相談の大半は「パートナーの膣内射精障害についてどうサポートすればいいか」という内容です。なかには「自分に原因があるのではないか」と悩まれている方も。ここで明確にお伝えしたいのですが、膣内射精障害の原因が女性側にあるケースはごくまれです。女性側に原因があるとすれば、挿入そのものができない・挿入時に強い痛みがあるといった身体的な問題がある場合に限られます。パートナーが膣内射精障害であっても、それはあなたのせいではありません。

男性相談者の9割以上が10〜30代

男性からの相談を年代別に見ると、以下のような分布になっています。

10代

約10%

20代

約60%

30代

約20%

40代〜

約10%

20代だけで全体の6割を占めています。「加齢で射精が遅くなった」というよりも、若いうちから膣内射精障害に悩んでいる方がほとんどというのが実態です。これは他の調査とも一致しており、日本性機能学会の全国調査でも同調査では、EDは加齢とともに増加するという従来のイメージとは異なり、20代前半にも高い有病率が確認されています(※1)。
主な原因:不適切なマスターベーション習慣+心因性

📌 不適切なマスターベーション習慣
床オナ・強グリップ・足ピンなど、膣内の刺激とかけ離れた方法に慣れてしまったケース。TENGAヘルスケアの調査では、10〜30代男性の約10人に1人以上がこうした方法を習慣化していると報告されています(※2)。
📌 心因性(精神・心理的な要因)
極度の不安・緊張、パートナーとの関係性から来るプレッシャー、過去の傷つく体験(「なぜ射精できないの!」と強く責められた経験がトラウマになるなど)。
▶ 実態から見えること

多くの場合、この2つは同時に存在します。マスターベーション習慣だけ改善すればすぐ解決、というケースはむしろ少数派です。

3. 改善率と改善にかかった期間

325件の相談のうち、改善の報告があったケースは50件(全体の約15%・男性のみでは約17%)でした。

約15%
テキスト相談のみで
改善報告があった割合
60日
改善までの期間
(中央値)
改善にかかった期間の中央値は約60日(2ヶ月)でした。一方で、最長では約2年かかったケースもあります。数十往復ものメッセージのやり取りを経て改善に至った方もおり、膣内射精障害の改善には粘り強く向き合い続けることが大切だということが、データからも裏付けられています。
▶ この数字について

「約15%」という改善率は、医療機関での治療ではなくテキストメッセージのやり取りのみという条件を考えると、決して低くない数字です。一方で、改善に至らず途中で離脱してしまった方も存在します。改善の難しさと、継続的なサポートの重要性を示すデータといえます。

4. 専門医との議論から得た重要な視点

学術集会では、射精障害の第一人者である専門医や、TENGAヘルスケアのドクターとの議論・情報交換の機会がありました。そこで改めて確認された、膣内射精障害の改善における最も重要な視点をご紹介します。

専門医たちが一致して語った言葉
「射精障害のゴールを『射精』できることにしない」

一見矛盾しているように聞こえるかもしれません。しかし、これには明確な理由があります。

なぜ「射精にこだわらない」ことが大切なのか

🧠
射精への意識が強まるほど、射精は遠のく
「射精しなければ」という意識が高まると、交感神経が優位になり、射精に必要なリラックス状態が損なわれます。意識すればするほど、逆効果になってしまうのです。
💑
「幸せなセックス」の先に、膣内射精がある
改善できたケースを振り返ると、「射精によらない幸福なセックスをパートナーと築いた結果、膣内射精もできるようになった」という流れが非常に多く見られます。射精をゴールにしないことが、逆説的に膣内射精への近道になっているのです。
🤝
二人で「射精へのこだわり」を手放すことが鍵
本人だけでなく、パートナーも射精へのこだわりを手放せるかどうかが重要です。「今日は射精できなくてもいい」という雰囲気を二人で作れたとき、身体はよりリラックスし、自然に機能しやすくなります。
▶ 監修者コメント

「射精を捨てたら、射精が手に入る」——何とも哲学的に聞こえますが、実際の相談対応の経験から見ても、このアプローチで改善につながるケースは非常に多いです。もちろんトレーニングカップなどの物理的なアプローチも重要ですが、「ゴールの設定を変える」という視点は、改善への大きな転換点になり得ます。

まとめ
  • 3年半・約400件の相談データから、膣内射精障害は20代男性に最も多く(約60%)、決して珍しくない悩みであることがわかった
  • 相談者の約2割は女性(パートナー側)。膣内射精障害の原因が女性にあるケースはごくまれで、原因は男性側にある
  • 原因の多くは「不適切なマスターベーション習慣」と「心因性」の両方が絡み合っている
  • テキスト相談のみでの改善率は約15%、改善までの中央値は約60日(最長約2年)
  • 専門医が一致して語った重要な視点は「射精をゴールにしないこと」。射精によらない幸福なセックスを二人で築いた結果、膣内射精が可能になるケースが多い
  • 本人もパートナーも「射精へのこだわり」を手放すことが、改善への近道になる

参考・引用
  1. 一般社団法人日本性機能学会 臨床研究促進委員会「全国ED実態調査」(EHSによる有病率調査)
  2. TENGAヘルスケア「オナニー国勢調査(全国男性自慰行為調査 2017)」(不適切な自慰行為の割合)
  3. TENGAヘルスケア「膣内射精障害の実態調査(2017年)」(有病率約5.8%)
  4. 小堀善友 他「マスターベーションエイドを用いた膣内射精障害のリハビリテーション」CiNii Research
  5. 日本性科学会学術集会 口頭発表(3年半・394件の相談データ)および懇親会における専門医との意見交換
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